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講義09:【行政書士法(1)】使命・職責と試験制度~2026年改正対応~

「一般知識(基礎知識)」科目の中でも、合否に直結する最重要科目が「行政書士法」です。

そして、2026年度試験を目指す皆さんにとって、絶対に避けて通れない大きなトピックがあります。
それは、2026年1月1日施行の大規模な法改正です。

「第1条の目的規定が『使命』へと変更」「『職責』規定の新設」など、行政書士制度の根幹に関わる部分がアップデートされました。古いテキストや過去問の知識だけで戦おうとすると、この改正点だけで命取りになりかねません。

この記事では、最新の法改正情報を完全に反映し、行政書士法の「入り口」にあたる部分(使命・職責・資格・試験)を徹底解説します。ライバルに差をつけるための最新知識を、今のうちにマスターしておきましょう!

1. 【超重要改正】「目的」から「使命」へ(第1条)

これまでの行政書士法第1条は「この法律は……目的とする」という、いわゆる「目的規定」でした。しかし、今回の改正により、弁護士法などと同様に「使命」を宣言する規定へと生まれ変わりました。

(1) 改正後の第1条(使命)の構造

行政書士は、単なる代書人ではなく、国民の権利擁護と行政手続の円滑化を担う法律専門職です。その立場を明確にするため、条文の主語が「この法律は」から「行政書士は」へと変更されました。

💡 改正のポイント

【旧規定】
「この法律は、……国民の権利利益の実現に資することを目的とする。」(法の目的を記述)

【新規定(2026年〜)】
「行政書士は、……国民の権利利益の実現に資することを使命とする。」(専門職としての使命を宣言)

この変更は、行政書士が高い倫理観を持って業務にあたるべき「高度な専門職」であることを法律が認めたことを意味します。試験では「第1条は目的を規定している」という選択肢が×(誤り)になる可能性が高いため、要注意です。

(2) 使命を構成する要素

条文で謳われる「使命」の内容自体は、従来の目的規定の要素を引き継いでいますが、その重みが増しています。

  • 行政に関する手続の円滑な実施に寄与すること。
  • 国民の利便に資すること。
  • もって国民の権利利益の実現に資すること。

2. 【新設】行政書士の「職責」(第1条の2)

第1条で「使命」が宣言されたことに伴い、その使命を果たすための心構えとして「職責」に関する規定が新設されました。

職責規定の内容

行政書士は、その使命を達成するため、以下のような責務を負うことが明文化されました。

  • 誠実な業務遂行:依頼者に対し、誠実に業務を行わなければならない。
  • 品位の保持:行政書士としての信用や品位を害するような行為をしてはならない。
  • 公正の保持:常に公正な立場で職務を行わなければならない。

これまでも倫理規定(会則等)にはありましたが、法律の条文(第1条の2)として格上げされた点が重要です。

💡 試験対策上の注意

問題文で「行政書士法には、行政書士の職責に関する規定は置かれていない」とあったら、即座に×と判断してください。2026年改正により、明確に規定されました。

3. 行政書士になれる者(資格)(第2条)

次に、誰が行政書士になれるのか(資格要件)を見ていきましょう。ここにも改正の影響(特定行政書士の業務拡大)が波及しています。

(1) 3つの資格取得ルート

行政書士となる資格を得るには、以下の3つのルートがあります。

ルート 内容 備考
① 試験合格者 行政書士試験に合格した者 最も一般的なルート。
② 他士業資格者 弁護士、弁理士、公認会計士、税理士となる資格を有する者 ※司法書士や社労士は含まれません。
③ 公務員特認 国または地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間が通算20年以上(高卒等は17年以上)になる者 いわゆる「特認制度」。
💡 注意点:「資格」だけでは業務不可

これらの要件を満たしても、それは「行政書士となる資格」を有しているだけに過ぎません。
業務を行うためには、日本行政書士会連合会の名簿に「登録」を受けなければなりません。「合格=即開業」ではない点に注意しましょう。

(2) 特定行政書士の業務範囲拡大(改正点)

行政書士資格に加え、所定の研修・考査をパスした者に付与される「特定行政書士」についても、2026年改正で重要な変更があります。

【従来】
行政書士が作成した書類に係る「行政不服申立て手続」の代理のみが可能。

【改正後】
業務範囲が拡大され、より幅広い行政手続きや紛争解決手続(ADR等)に関与できるようになりました。
※試験対策としては、「特定行政書士の業務範囲が拡大された」という事実と、それが「行政書士の権利擁護機能の強化(使命の達成)」に繋がっているという文脈を押さえておきましょう。

4. 欠格事由(第2条の2)~登録できない人~

資格を持っていても、以下の「欠格事由」に該当する間は、行政書士となる資格を有しません(登録できません)。
ここは試験の超頻出ゾーンです。数字(年数)と対象者を正確に暗記してください。

主な欠格事由

  1. 未成年者
    • 試験は年齢制限なく受けられますが、登録は成年に達するまで待つ必要があります。
  2. 破産者で復権を得ないもの
    • 破産手続き開始決定を受けても、免責許可などで「復権」すれば登録可能です。
  3. 禁錮以上の刑に処せられた者
    • 刑の執行が終わり、または執行を受けることがなくなってから3年を経過しない者。
    • ※執行猶予付き判決の場合は、猶予期間が満了すれば直ちに欠格事由でなくなります(3年待つ必要はありません)。
  4. 懲戒免職となった公務員
    • 処分の日から3年を経過しない者。
  5. 登録の取消し処分を受けた者
    • 業務停止ではなく「登録取消し」という重い処分を受けた場合、処分の日から3年を経過しない者。
💡 間違いやすいポイント:成年被後見人

以前は「成年被後見人・被保佐人」は欠格事由でしたが、法改正により削除されています。
現在は、心身の故障がある場合は、登録審査の段階で個別に判断される仕組み(登録拒否事由)になっています。「一律に欠格事由となる」という選択肢は×です。

5. 行政書士試験の仕組み(実施と運営)

皆さんが受験する「行政書士試験」。誰が実施し、誰が問題を作っているのか、その裏側の仕組みも出題範囲です。

(1) 試験の実施主体(第3条)

法律上の建前と、実態を区別して覚えましょう。

  • 法律上の実施者都道府県知事(総務大臣の定めるところにより行う)。
  • 実際の運営者指定試験機関(一般財団法人行政書士試験研究センター)。知事から委任を受けて事務を行います。

(2) 指定試験機関の義務と監督

試験の公平性を保つため、センター(指定試験機関)には厳しいルールが課されています。

① 役員・職員・試験委員の義務

  • 秘密保持義務:問題の内容などを漏らしてはいけません(退職後も同様)。
  • みなし公務員:刑法等の罰則適用においては「公務員」とみなされます(賄賂を受け取れば収賄罪)。

② 試験委員の選任(届出制)

問題作成者である試験委員を選任・解任したときは、総務大臣に届け出なければなりません。
※「認可」や「許可」ではなく「届出」で足りる点がポイントです。

③ 監督権限(誰が監督する?)

基本的には国の制度なので「総務大臣」が強い権限を持ちますが、委任元の「都道府県知事」にも一定の権限があります。

権限の内容 総務大臣 都道府県知事
事業計画・規程の認可 ○ 認可権者 ×
役員の解任命令 ○ 可能 ×
報告徴収・立入検査 ○ 可能 ○ 可能
指示 × ○ 可能(※改善命令等の強い権限は大臣)
💡 監督権限の整理

「大臣は認可や命令などの強い権限」「知事は報告を求めたり指示したりする現場監督的な権限」というイメージで整理すると覚えやすいです。

(3) 不正受験者への対応

不正行為(カンニング等)があった場合、試験の中止や合格の取消しが行われます。
さらに、情状により最長で3年間、試験を受けさせない(受験禁止処分)ことができます。

6. 【実戦演習】改正点を含む本試験レベル問題

ここまでの解説内容、特に2026年改正点を中心に、実戦形式の問題で知識を確認しましょう。

問1:行政書士法第1条(使命・職責)
行政書士法の総則規定(第1条および第1条の2)に関する次の記述のうち、2026年1月1日施行の改正法に照らし、妥当なものはどれか。
1. 行政書士法第1条は、「この法律は、行政書士の制度を定め……国民の権利利益の実現に資することを目的とする」と規定しており、行政書士の使命については規定していない。
2. 行政書士法には、行政書士の職責に関する規定は置かれておらず、職責や倫理に関する事項は、日本行政書士会連合会の会則に委ねられている。
3. 改正行政書士法第1条は、行政書士が「行政に関する手続の円滑な実施」と「国民の利便」に資することを通じて、「国民の権利利益の実現」に資することを使命とすることを明記した。
4. 行政書士の職責として、誠実に業務を行う義務は法律上明記されたが、品位を保持する義務については、法律ではなく倫理規定上の義務にとどまる。
5. 行政書士法の目的規定が使命規定に変更されたことに伴い、行政書士は、依頼者の利益よりも行政庁の利益を優先して業務を行わなければならないこととされた。
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正解 3

解説:

1. 妥当でない。2026年改正により、第1条は「この法律は……目的とする」から「行政書士は……使命とする」という使命規定に変更されました。

2. 妥当でない。改正により、第1条の2として職責に関する規定が新設され、法律上の義務となりました。

3. 妥当である。これが改正後の第1条(使命)の正しい内容です。行政書士が「権利利益の実現」を使命とする専門職であることが明確化されました。

4. 妥当でない。新設された職責規定には、誠実義務だけでなく「品位保持義務」や「公正保持義務」も含まれています。

5. 妥当でない。使命規定への変更は、国民の権利擁護機能を強化するものであり、行政庁の利益を優先させるものではありません。

問2:行政書士の資格と欠格事由
行政書士となる資格および欠格事由に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
1. 公認会計士、税理士、弁理士となる資格を有する者は、行政書士試験に合格していなくとも、行政書士となる資格を有するが、社会保険労務士となる資格を有する者はこれに含まれない。
2. 国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間が通算して17年以上になる者は、最終学歴が中等教育学校卒業者等であれば、行政書士となる資格を有する。
3. 禁錮以上の刑に処せられた者であっても、その刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた場合において、その猶予の期間を経過したときは、直ちに行政書士となる資格を有する。
4. 精神の機能の障害により行政書士の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を行うことができる能力を欠く者は、欠格事由に該当するため、一律に行政書士となる資格を有しない。
5. 公務員として懲戒免職の処分を受けた者は、当該処分の日から3年を経過するまでは、行政書士となる資格を有しない。
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正解 4

解説:

1. 妥当である。他士業資格者による付与の範囲に関する正しい記述です。

2. 妥当である。公務員特認の期間は、原則20年ですが、高卒者等は17年で足ります。

3. 妥当である。執行猶予期間が満了すれば、刑の言渡しの効力が消滅するため、3年の経過を待たずに資格を有します。

4. 妥当でない。法改正により、成年被後見人等や心身の故障がある者は、一律の欠格事由からは除外されました(登録拒否事由として個別に審査されます)。

5. 妥当である。公務員の懲戒免職における欠格期間は3年です。

問3:行政書士試験の実施
行政書士試験の実施に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
1. 行政書士試験は、総務大臣が毎年1回以上行うものとされており、都道府県知事はその事務の一部を受託して行うことができる。
2. 都道府県知事から試験事務の委任を受けた指定試験機関は、試験委員を選任したときは、遅滞なくその旨を都道府県知事に届け出なければならない。
3. 指定試験機関が試験事務規程を変更しようとするときは、委任元の都道府県知事の認可を受けなければならない。
4. 指定試験機関の役員及び職員は、試験事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないが、試験委員については非常勤であるため、法律上の秘密保持義務は課されていない。
5. 不正な手段によって試験を受けようとした者に対しては、都道府県知事または指定試験機関は、その受験を禁止することができるほか、情状により3年以内の期間を定めて試験を受けることができないものとすることができる。
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正解 5

解説:

1. 妥当でない。試験の実施主体は「都道府県知事」です(総務大臣の定めるところにより行う)。主客が逆です。

2. 妥当でない。試験委員の選任・解任の届出先は「総務大臣」です。

3. 妥当でない。試験事務規程の認可権者は「総務大臣」です。

4. 妥当でない。試験委員にも、役職員と同様に秘密保持義務およびみなし公務員規定が適用されます。

5. 妥当である。不正受験者に対する対応(合格取消、受験禁止処分)に関する正しい記述です。

7. まとめ:法改正を味方につける

今回は、2026年改正を反映した行政書士法の「入り口」部分を解説しました。
ポイントを整理します。

  • 第1条の改正:「目的」から「使命」へ。「行政書士は……を使命とする」と主語が変わった。
  • 職責の新設:誠実義務、品位保持、公正保持が法律上の義務になった。
  • 特定行政書士:業務範囲が拡大された。
  • 欠格事由:成年被後見人の規定は削除されていることに注意。
  • 試験制度:実施主体は知事、監督主体は大臣(一部知事)。

法改正があった年は、その改正部分がそのまま出題される可能性が非常に高いです。多くの受験生が手薄になりがちな最新情報をしっかり押さえて、確実に得点を積み重ねてください。

次回は、行政書士の「登録」「業務」「行政書士会」について解説します。ここでも改正点(業務制限の趣旨明確化など)が登場しますので、引き続き学習を進めましょう!

よくある質問(FAQ)

Q1. 2026年改正前の古いテキストを使っていますが、買い替えた方がいいですか?
はい、強く推奨します。行政書士法のようなマイナー法令の改正点は、ネット上の情報だけでは網羅しきれないことが多く、第1条の変更などは合否に直結するため、最新の改正に対応したテキストで学習することをお勧めします。

Q2. 試験に合格した後、登録せずに放置したら合格は取り消されますか?
いいえ、合格の効力は一生有効です。何年経ってから登録しても構いませんし、試験を受け直す必要もありません(ただし、欠格事由に該当してしまった場合は登録できません)。

Q3. 公務員特認(20年勤務)で行政書士になる場合、特定行政書士にもなれますか?
自動的にはなれません。特定行政書士になるには、行政書士登録をした後に、日本行政書士会連合会が実施する「特定行政書士法定研修」を受講し、考査(試験)に合格する必要があります。これは試験合格者ルートでも公務員特認ルートでも同じです。

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