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【基礎法学】法の解釈と法令用語を完全マスター|条文の読み方・基礎知識

行政書士試験の学習を進める中で、「条文が読みづらい」「解説に書いてある用語の意味がピンとこない」と感じることはありませんか?

法律の世界には、日常会話とは異なる独特の「文法」や「語彙」が存在します。これら「法令用語」「法の解釈ルール」を正しく理解することは、基礎法学の得点源になるだけでなく、これから学ぶ民法や行政法の理解スピードを劇的に向上させるカギとなります。

今回は、試験で問われやすい重要な法令用語と、法の解釈手法について徹底解説します。曖昧な知識をここでクリアにしておきましょう。

1. 法の解釈とは?(要件と効果)

法律の条文は、基本的に「要件(条件)」「効果(結果)」の組み合わせで構成されています。

💡 法の基本構造

「Xならば(要件)、Yである(効果)」

例えば、刑法199条を見てみましょう。

「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」
  • 要件:「人を殺した」こと
  • 効果:「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処せられる」こと

裁判では、目の前の事実がこの「要件」に当てはまるかどうかを判断します(法の適用)。しかし、条文の言葉は抽象的なため、そのままでは当てはまるか判断できない場合があります。そこで必要になるのが「法の解釈」です。

(1) 文理解釈と論理解釈

解釈の種類 内容
文理解釈 条文の文字通りの意味に従って解釈する方法。最も基本的で原則的な解釈です。
論理解釈 文理だけでは妥当な結論が出ない場合に、法の目的や体系から論理的に意味を確定する方法。

(2) 様々な論理解釈の手法

試験対策として、以下の用語の定義を区別できるようにしておきましょう。

名称 説明 具体例のイメージ
拡張解釈 文言の意味を通常よりも広げて解釈する。 「工作物」には、土地に接着した物だけでなく、その中の機械も含むとする。
縮小解釈 文言の意味を通常よりも狭めて解釈する。 「第三者」を、単なる第三者ではなく「登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者」に限定する。
類推解釈 規定がない事項について、類似した別の規定を及ぼして適用する。 「X」の規定を、似ている「X’」にも使ってしまう考え方。
反対解釈 規定がある事項以外の事項については、反対の意味に解釈する。 「XならばY」という規定がある時、「XでなければYではない」と解釈する。
もちろん解釈 規定がなくても、法の趣旨からして当然そうなると解釈する。 「軽いこと」が禁止されているなら、「重いこと」は当然禁止されるはずだ、という考え方。

2. 絶対に落とせない「法令用語」のルール

ここでは、本試験の基礎法学や多肢選択式問題で狙われやすい、独特な法令用語をペアで整理します。

(1) 善意・悪意

日常用語の「良い人・悪い人」という意味ではありません。

  • 善意:ある事実を知らないこと。
  • 悪意:ある事実を知っていること。

(2) 直ちに・速やかに・遅滞なく

すべて「急いで」という意味ですが、緊急性の高さに順序があります。

直ちに > 速やかに > 遅滞なく

  • 直ちに:即座に。正当な理由があっても許されない最強の緊急性。
  • 速やかに:できるだけ早く。訓示的な意味合いが強く、強制力は弱め。
  • 遅滞なく:事情が許す限り早く。正当な・合理的な理由があれば遅れても許される。

(3) みなす・推定する

どちらも「ある事実を別のものとして扱う」点では似ていますが、「反証(反対の証拠)」によって覆せるかどうかが決定的に違います。

用語 意味・効力 覚え方
みなす 法的に同一のものとして確定させる。反対の証拠を出しても覆らない 「~とみなす」=絶対的な決定。
(例:未成年者が結婚したら成年に達したとみなす)
推定する 一応そのように扱うが、反対の証拠があれば覆る 「~と推定する」=とりあえずの決定。
(例:妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定する)
💡 学習のポイント

試験問題で文末が「~と推定する」となっていたら、「本当に推定(反証可能)か? みなす(反証不可)ではないか?」と疑うクセをつけましょう。

(4) 「及び・並びに」と「又は・若しくは」

複数の言葉をつなぐ接続詞のルールです。グループの大きさ(レベル)によって使い分けます。

A. 併合的接続(AND):「及び」と「並びに」

  • 及び:一番小さな(基本的な)つなぎに使います。
  • 並びに:大きなグループをつなぐ時に使います。

例:A及びB、並びにC
→(AとB)がセットで、それとCが並列、という構造です。

B. 選択的接続(OR):「又は」と「若しくは」

  • 又は:一番大きな(基本的な)つなぎに使います。
  • 若しくは:小さなグループをつなぐ時に使います。

例:A若しくはB又はC
→(AかB)という小さなグループか、またはCか、という構造です。

💡 覚え方のコツ

AND系(併合):小さいのが「及び」
OR系(選択):大きいのが「又は」
と覚えておき、それ以外の階層が出たらもう一方を使うと整理しましょう。

(5) その他・その他の

  • その他:前後の言葉が並列の関係。「Aその他B」=AとBは対等。
  • その他の:前の言葉が後の言葉の例示(一部)である関係。「Aその他のB」=Bというグループの中に例としてAがある。

3. 法律の形式(条文の構造)

法律を読む際の「住所」のようなものです。

  • :法律の基本単位(第一条、第二条…)。
  • :条の中で改行して区分される段落。数字(1、2…)で表されますが、第1項には数字が付かないこともあります。
  • :条や項の中で、事柄を列挙する場合に使われます。漢数字(一、二…)が使われます。

さらに細分化する場合は、イ・ロ・ハ…(片仮名)が使われます。


4. 実戦問題にチャレンジ

問1:法令用語の意味と用法
法令用語に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1. 「善意」とは、道徳的に善良な意図を持っていることを指し、「悪意」とは、他人を害する意図を持っていることを指す。
2. 「みなす」と「推定する」は、いずれも反対の証拠を挙げてその効果を覆すことができる点で共通している。
3. 「直ちに」「速やかに」「遅滞なく」はいずれも急ぐことを意味するが、時間的な即時性が最も強いのは「遅滞なく」であり、最も弱いのは「速やかに」である。
4. 「その他」は並列的な関係にある語句を接続する場合に用いられ、「その他の」は前にある語句が後にある語句の例示である場合に用いられる。
5. 「適用する」とは、ある法令の規定を特定の事項にそのまま当てることを指し、「準用する」とは、法令全体を包括的に別の事項に当てることを指す。
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正解 4

解説:

1. 誤り。法令用語としての「善意」は「知らないこと」、「悪意」は「知っていること」を意味します。

2. 誤り。「推定する」は反証によって覆せますが、「みなす」は反証があっても覆せません(法的に同一視されます)。

3. 誤り。緊急性が高い順に「直ちに > 速やかに > 遅滞なく」です。

4. 正しい。「Aその他B」はAとBが並列。「Aその他のB」はBの中にAが含まれる(例示)関係です。

5. 誤り。「準用する」は、類似する事項について必要な修正(読み替え)を加えて当てはめることを指します。記述後半の「法令全体を包括的に当てる」のは「例による」の説明に近いものです。

問2:接続詞の用法
法令における接続詞の用法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1. 「A及びB」と言う場合と、「A並びにB」と言う場合では、前者のほうがより大きな段階の接続に用いられる。
2. 3つの語句A、B、Cを並列に接続して「AとBとC」という意味を表す場合、「A、B及びC」と表記するのが通例である。
3. 「A又はB」と言う場合と、「A若しくはB」と言う場合では、後者のほうがより大きな段階の接続に用いられる。
4. 「A及びB並びにC」という記述がある場合、論理的な構造としては「A」と「B並びにC」の2つのグループに分かれる。
5. 「A若しくはB又はC」という記述がある場合、論理的な構造としては「A若しくはB」と「C」の2つのグループに分かれる。
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正解 2

解説:

1. 誤り。併合的接続では、小さい接続に「及び」、大きい接続に「並びに」を使います。したがって「並びに」の方が大きな段階です。

2. 正しい。3つ以上を並列する場合、最後だけ「及び」を使い、その前は読点(、)でつなぎます。

3. 誤り。選択的接続では、大きい接続に「又は」、小さい接続に「若しくは」を使います。したがって「又は」の方が大きな段階です。

4. 誤り。「並びに」が大きい接続、「及び」が小さい接続なので、「(A及びB)並びにC」という構造になります。

5. 誤り。「又は」が大きい接続、「若しくは」が小さい接続なので、「(A若しくはB)又はC」という構造になります。

問3:法の解釈手法
法の解釈に関する次の記述のうち、類推解釈の説明として妥当なものはどれか。

1. ある事項について直接規定した条文がない場合に、その事項と類似した別の事項に関する規定を当てはめて解決を図る解釈方法。
2. ある事項について規定がある場合に、その規定の要件に該当しない事項については、その規定の効果が生じないと解釈する方法。
3. 条文の文言の意味を、日常用語としての意味よりも狭く限定して解釈する方法。
4. 形式的には法の規定の要件に該当するが、法の目的や趣旨に照らして、その適用を排除して解釈する方法。
5. 法文の意味を文法に従って忠実に確定させる解釈方法。
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正解 1

解説:

1. 妥当である。これが類推解釈の定義です。

2. 誤り。これは反対解釈の説明です。

3. 誤り。これは縮小解釈の説明です。

4. 誤り。これは目的論的解釈の一種で、縮小解釈等の根拠となる考え方ですが、類推解釈ではありません。

5. 誤り。これは文理解釈の説明です。

5. まとめと学習のアドバイス

今回は「法の解釈」と「法令用語」について解説しました。ポイントは以下の通りです。

  • 解釈:類推解釈(似ているから使う)と反対解釈(違うから使わない)の違いを理解する。
  • 用語1:「みなす(反証不可)」と「推定する(反証可)」は最重要。
  • 用語2:「直ちに > 速やかに > 遅滞なく」の順序を覚える。
  • 接続詞:「又は(大)・若しくは(小)」、「並びに(大)・及び(小)」の関係を押さえる。

これらの知識は、基礎法学で出題されるだけでなく、民法や行政法の条文を読む際の「基礎体力」となります。特に「みなす」と「推定する」の違いは、民法の親子関係や失踪宣告などで頻繁に登場しますので、今のうちに確実に定着させておきましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 「準用する」と「例による」の違いは何ですか?
A. どちらも他のルールを借りてくることですが、「準用する」は特定の条文について必要な修正(読み替え)をして当てはめること、「例による」は法令全体や制度全体を包括的に当てはめること、という違いがあります。
Q. 基礎法学の対策はいつ頃から始めるべきですか?
A. 学習の最初(憲法や民法に入る前)に、本記事のような用語や区分の基礎を一通りさらっておくのがベストです。ただし、深入りしすぎず、民法などの学習を進めながら、辞書的に用語を確認しに戻ってくるスタイルが効率的です。
Q. 文理解釈と論理解釈、どちらが優先されますか?
A. 原則は条文の文字通りに読む「文理解釈」が優先です。しかし、それだけでは不都合が生じる場合(法の抜け穴ができるなど)に、例外的に「論理解釈(類推解釈や拡張解釈など)」を用いて妥当な結論を導きます。
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