2026年5月は、ゴールデンウィーク中の「こどもの数」推計発表から始まり、中旬には「1票の格差」訴訟の判決や民事訴訟の全面デジタル化スタート、下旬には物価高対策としての「予備費支出」の閣議決定など、試験対策上重要なニュースが相次ぎました。
特に、予備費のルールや選挙訴訟における事情判決の法理、薬事法距離制限違憲判決に関連する法改正など、行政書士試験の法令科目に直結するテーマが目白押しです。
今回は、2026年5月のニュースを総括し、試験で狙われる重要論点5選を解説します。記事後半の一括チェックテストで定着度を確認しましょう。
1.【法改正・社会】改正薬機法施行、「指定濫用防止医薬品」新設(5/1)
5月1日、改正薬機法(医薬品医療機器等法)が施行され、市販薬の販売規制が抜本的に強化されました。
試験対策:薬局距離制限違憲判決
医薬品の販売規制と聞けば、憲法・行政法で超Aランクの判例を思い出す必要があります。
- 薬事法距離制限違憲判決(最大判昭50.4.30):薬局の開設に距離制限を設けた旧薬事法の規定が、憲法22条1項(職業選択の自由)に違反するとされた有名な判例です。
- 規制の目的:不良医薬品の供給を防止するという「消極的・警察的目的の規制」であると認定され、より緩やかな別の手段で目的が達成できるとして違憲と判断されました。
2.【憲法・司法】1票の格差訴訟、福岡高裁支部で「合憲」判決(5/20)
5月20日、2026年2月に行われた衆議院議員総選挙を巡る「1票の格差」訴訟において、福岡高裁支部は「合憲」とする判決を言い渡しました。
全国の高等裁判所で争われている一連の訴訟の一つです。国会の定数是正の取り組みが評価され、合憲判断が続いています。
試験対策:投票価値の平等と事情判決
選挙訴訟における裁判所の判断手法を押さえましょう。
- 投票価値の平等:憲法14条(法の下の平等)は、1人1票という数的な平等だけでなく、「投票価値(1票の重み)の平等」も要求していると解されています。
- 事情判決の法理:仮に選挙が違憲と判断された場合でも、選挙を無効にすると社会的な混乱が大きいため、行政事件訴訟法の「事情判決」の法理を準用し、違憲宣言にとどめて選挙自体は有効とする判決が出されることがあります。
3.【司法・情報通信】民事訴訟の全面デジタル化スタート(5/21)
2026年5月21日より、改正民事訴訟法に基づく「民事訴訟の全面デジタル化」がスタートしました。
裁判手続きの迅速化を目指し、訴状のオンライン提出や、ウェブ会議を利用した口頭弁論などが本格的に運用開始されました。
試験対策:オンライン申立ての義務と任意
司法制度のIT化における「義務化の対象」がポイントです。
- 代理人(弁護士等):オンラインでの申立てが義務化されます。
- 本人訴訟:弁護士を立てずに本人が行う訴訟については、デジタル格差に配慮し、オンライン申立ては任意(紙での提出も可能)とされています。
4.【政治・財政】電気・ガス料金補助の予備費支出を閣議決定(5/26)
5月26日、政府は中東情勢の長期化によるエネルギー価格高騰を受け、夏場の電気・ガス料金を補助するため、2026年度予算の予備費から5,000億円を支出することを閣議決定しました。
7月~9月の3ヶ月間、標準的な家庭で約5,000円の負担軽減を行うための財源として予備費が充てられます。また、今後の事態に備えるため補正予算案の編成も示唆されています。
試験対策:予備費と補正予算の要件
憲法および財政法における予算のルールは超頻出論点です。
- 予備費(憲法87条):予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づき予備費を設けることができます。支出は内閣の責任で行い、事後に国会の承諾を得る必要があります。
- 補正予算(財政法29条):予算作成後に生じた事由に基づき、特に緊要となった経費の支出が必要な場合に限り、内閣は補正予算を作成し、国会に提出することができます。
5.【社会・統計】総務省「こどもの数」推計発表(5/4)
5月5日の「こどもの日」に合わせて、総務省は15歳未満の「こどもの数」の推計を発表しました。
こどもの数は今年も減少し、過去最少を更新し続けています。少子化対策が国政の最重要課題となっています。
試験対策:日本の人口動態
基礎知識(社会)において、人口統計の「割合」は必ず暗記すべきデータです。
- 年少人口(15歳未満):総人口に占める割合は約11%台まで低下しています。
- 老年人口(65歳以上):総人口に占める割合は約29%に達しており、こどもの割合を大きく上回る「超高齢社会」となっています。
6. 実戦!時事チェックテスト(全5問)
ここまでのニュース内容が頭に入っているか、一問一答形式で確認しましょう。
正解・解説を見る
正解 ○
解説:記述の通りです(薬事法距離制限違憲判決)。消極的目的の規制については「厳格な合理性の基準(必要最小限度の規制か)」が用いられ、結果として違憲とされました。
正解・解説を見る
正解 ×
解説:選挙を無効にすると国政に重大な支障を及ぼすおそれがあるため、行政事件訴訟法の「事情判決」の法理を準用し、違憲であることを宣言するにとどめ、選挙自体は無効としない(有効とする)判決を出すことが認められています。
正解・解説を見る
正解 ○
解説:記述の通りです。弁護士等の代理人にはオンライン申立てが義務付けられていますが、本人訴訟の場合は紙での申立ても認められています(デジタル格差への配慮)。
正解・解説を見る
正解 ×
解説:予備費の支出は、内閣の責任で行い、「事後」に国会の承諾を得る必要があります(憲法87条2項)。緊急時のための費用なので、事前承諾では意味がないからです。
正解・解説を見る
正解 ×
解説:日本の15歳未満の割合は約11%台であるのに対し、65歳以上の割合は約29%に達しており、老年人口の方が圧倒的に多くなっています。
7. まとめ:5月のチェックポイント
5月のニュースからは、以下のキーワードを持ち帰りましょう。
よくある質問(FAQ)
「積極的目的規制」は、弱者保護や社会経済の調和を図るための規制(例:小売市場距離制限)で、国会の裁量が広く認められ合憲とされやすいです。一方、「消極的目的規制」は、国民の生命や健康への危険を防ぐための規制(例:薬局距離制限)で、より厳格に審査されます。
Q2. 補正予算と暫定予算の違いは何ですか?
「補正予算」は、本予算が成立した後に、災害対応や経済対策など予見できなかった事態が生じた際に追加・変更する予算です。一方、「暫定予算」は、年度開始までに本予算が間に合わない場合の「つなぎ」の予算です。