3月中旬(3月11日~20日)は、国会での新年度予算案の衆院通過や、日米首脳会談、日銀の金融政策決定会合など、国の内外で極めて重要な決定が相次ぎました。
また、中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー問題や、フェイクニュース対策の実証実験など、行政書士試験の「基礎知識」で頻出のテーマがニュースを賑わせています。
今回は、この直近10日間のニュースを試験対策の視点で徹底解説し、記事の後半で一括チェックテストを行います。
1.【政治・憲法】2026年度予算案が衆議院を通過(3/13)
3月13日、過去最大の122兆円規模となる2026年度(令和8年度)予算案が衆議院本会議で可決され、参議院へ送付されました。
行政書士試験的・解説:予算の自然成立(30日ルール)
憲法における「衆議院の優越」の中でも、予算に関する規定は最重要論点です。
- 先議権:予算は必ず衆議院に先に提出しなければなりません(憲法60条1項)。
- 自然成立:参議院が、衆議院の可決した予算を受け取った後、休会中の期間を除いて30日以内に議決しないときは、衆議院の議決が国会の議決となります(憲法60条2項)。法律案の「60日」と混同しないようにしましょう。
2.【経済・金融】日銀とFRBが政策金利の据え置きを発表(3/19)
3月19日、日本銀行と米国連邦準備制度理事会(FRB)は、それぞれ金融政策決定会合を開き、政策金利の据え置きを決定しました。
日米の金利差が為替相場(円安・円高)に与える影響が引き続き注目されています。日銀は物価や賃金の動向を慎重に見極める姿勢を示しました。
行政書士試験的・解説:日本銀行の役割と金融政策
基礎知識(経済)において、日銀の役割は頻出です。
- 発券銀行:日本銀行券(紙幣)を発行する唯一の銀行です。
- 銀行の銀行:市中銀行との間で資金の貸し借りや預金の受け入れを行います。
- 政府の銀行:国庫金の出納など、政府の資金を管理します。
- 公開市場操作(オペレーション):日銀が市中銀行と国債などを売買し、市場の通貨量を調整する代表的な金融政策です。
3.【国際・政治】高市首相が訪米、日米首脳会談へ(3/19)
3月19日、高市総理大臣がアメリカのワシントンに到着し、トランプ米大統領との日米首脳会談に臨みました。
安全保障や経済・貿易分野での日米同盟の強化が確認されるとともに、新たな国際情勢に対する連携が協議されました。
行政書士試験的・解説:条約の締結と国会の承認
外交関係のニュースからは、憲法の「条約」に関する規定を復習しましょう。
- 条約の締結権:条約を締結する権限は内閣にあります(憲法73条3号)。
- 国会の承認:条約を締結するには、事前または事後に国会の承認を経る必要があります。
- 衆議院の優越:条約の承認についても、予算と同様に衆議院の優越(自然成立は30日)が認められています。
4.【国際・経済】イラン情勢緊迫化とエネルギー安全保障(3/17)
イラン情勢の緊迫化を受け、ペルシャ湾内を航行する日本関係船舶の安全確保や、原油価格高騰への対応が国会で議論されました。
中東地域の不安定化は、エネルギーの多くを輸入に頼る日本経済にとって直結する死活問題です。
行政書士試験的・解説:日本のエネルギー事情
基礎知識(社会・経済)における日本のエネルギー自給率と輸入先は頻出データです。
- 一次エネルギー自給率:日本の自給率は約1割程度と、他の先進国に比べて極めて低い水準です。
- 原油の中東依存度:日本の原油輸入は、約9割を中東地域に依存しています。そのため、ホルムズ海峡などのシーレーン(海上交通路)の安全確保が重要視されます。
5.【情報通信】偽・誤情報対策(C2PA技術)の実証実験(3/16)
3月16日、NTTドコモなどが、インターネット上の偽・誤情報(フェイクニュース)対策として、コンテンツの真正性を証明する「C2PA」技術の実証実験を実施したと発表しました。
生成AIの普及により精巧なフェイク画像が社会問題化する中、画像や動画の「撮影者」や「編集履歴」などのメタデータを付与し、情報の信頼性を担保する技術の開発が進んでいます。
行政書士試験的・解説:表現の自由と検閲の禁止
フェイクニュース対策は、憲法21条の「表現の自由」とのバランスが常に問われます。
- 検閲の絶対的禁止:行政権が主体となって、思想内容等の表現物を発表前に審査し、不適当と認めるものの発表を禁止する「検閲」は、絶対的に禁止されています(憲法21条2項)。
- プロバイダの責任:情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)により、大規模プラットフォーム事業者に対する削除対応の迅速化・透明化が義務付けられています。
6. 実戦!時事チェックテスト(全5問)
ここまでのニュース内容が頭に入っているか、一問一答形式で確認しましょう。
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正解 ×
解説:予算の自然成立までの期間は「30日」です(憲法60条2項)。「60日」は法律案における「みなし否決」の期間ですので、混同しないように注意してください。
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正解 ○
解説:記述の通りです。日銀が国債を「買う」ことで、その代金が市中銀行に支払われ、市場に出回るお金(通貨量)が増えます。これを買いオペレーション(買いオペ)といいます。
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正解 ×
解説:憲法73条3号において、条約を締結するには「事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする」と規定されており、事後承認も認められています。
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正解 ×
解説:日本の一次エネルギー自給率は約1割程度にとどまっており、50%には遠く及びません。また、原油の輸入先は約9割を中東地域に依存しており、多角化されているとは言えません。
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正解 ○
解説:記述の通りです(税関検査事件・最大判昭59.12.12)。裁判所が行う事前差し止めなどは、行政権が主体ではないため「検閲」には当たりません。
まとめ:3月中旬のチェックポイント
3月中旬のニュースからは、以下のキーワードを持ち帰りましょう。
よくある質問(FAQ)
法律案とは異なり、予算の場合は必ず両院協議会を開かなければなりません(必要的両院協議会)。そこでも意見が一致しないときは、衆議院の議決が国会の議決となります。
Q2. 買いオペレーションを行うと、なぜ金利が下がるのですか?
日銀が国債を買うことで、市中銀行の手元に資金(お金)が豊富になります。銀行はお金を貸し出したくなるため、借りてもらいやすくするために金利を引き下げる傾向が生まれるからです。